リングスリングのメリット・デメリット

ベビーウェアリングコンシェルジュの河嶋です。
今回はスリング、の中でもむすビバ講座でお伝えしているリングスリングのいいところや皆さんがうーん、と思うところをまとめてみます。

スリングとは……

輪状になった布を使用者の肩に袈裟懸けにかけて装着し、前身に作ったハンモック上袋の中に赤ちゃんを抱きいれて使用する抱っこ紐です。
袋のサイズが決まっているパウチタイプのスリングと、使用者の体形に合わせて調整が出来るリングスリング(バックルタイプも有り)とに大別されます。
ここで主にお伝えするリングスリングは1980年代にハワイで生まれました。
小児科医レイナー・ガーナー氏は、夫婦で自分たちの赤ちゃんを抱っこして育てることが良いと考え、そのために長く赤ちゃんを抱っこしていても親も子も負担が軽く、また、体格の違う夫婦でも使いやすい道具としてリングで調整できるスリングを生み出したと言われています。

スリングのいいところ

  • 赤ちゃんと使用者の体(体勢)に自由に合わせられる
    →リングスリングは、テールと呼ばれる扇状に広がった布端のどこを引っ張るかで赤ちゃんを包んでいる布の状態が変わります。使用者と赤ちゃんの一番良いポジションに合わせて布を調整することが出来るので、体型や身長にこだわらず使うことが可能です。
    どんなポジションがいいポジション?
    赤ちゃんのおでこにチュッてキスが出来るくらいの位置で、赤ちゃんをパパやママの身に寄せて素手でぎゅーっとハグするところを想像してみてください(または実際に抱いてみてください)。赤ちゃんのお尻よりも膝の位置が高くなるように股関節をM字に開脚して内もも・内ふくらはぎが抱いている人のお腹~ウエストに密着するように、または抱いている人のウエストにまたがるように促してあげるとよいでしょう。

    北極しろくま堂 メールマガジン vol.177 より引用
    https://www.babywearing.jp/mailmagazine/151202
  • とにかく装着が速い
    →「使い方に慣れたら」という前提条件が付いてしまいますが、抱っこひもの中でも上位を競う(笑)装着の速さが魅力です。これは「手軽さ」という表現で使われることがあります。「使い方に慣れたら」というのは後述でデメリット(使用のハードルを上げている要因)にも当たるのですが、赤ちゃんと使用者のジャストのサイズや位置、赤ちゃんの姿勢などのポイントが抑えられていると、袈裟懸けにかぶる→赤ちゃんを抱きいれる→布を引き締めるの3ステップが流れるようになり、ものの10~20秒ほどで抱っこが完了します。
    手早く抱きおろしが出来ることから、歩きたい・抱っこしてほしいが頻繁に出てくる時期や、車での移動の多い方(家→車、車→出先、出先→車、車→家、など抱く距離が少しであったり、抱きおろしの回数が多いお出かけ)にはとても便利です。
  • 密着抱っこで軽く感じる
    →抱き方のバリエーションによって密着具合は変わりますが、赤ちゃんと使用者を過不足なく包むように布を調整すると、赤ちゃんは使用者にぴったりと寄り添うような体勢になります。赤ちゃんの位置が使用者のおへその位置よりも下がらないようにし、また肩や背中の布をしっかりと広げることで荷重が使用者の前身や肩だけでなく背中全体にも分散されるためとても軽く感じられます。
  • 子どもが落ち着いて眠る
    →ポーチと呼ばれる袋部分の一番深いところに赤ちゃんがしっかりとお尻をおろしM字の開脚ポジションを取ると、お尻から背中が緩やかなカーブを描きます。体全体が布に包まれ支えられている状態になると、赤ちゃんもリラックスしやすい体勢になるので、緊張が取れすっと眠りにつくことが多いとユーザーさんの声も多いです。
  • 眠ったまま降ろしやすい
    →スリングの中で寝た赤ちゃんをベッドやおふとんに降ろす際には、赤ちゃんを支えながらスリングを緩め、スリングに入ったまま赤ちゃんを下ろして使用者が抜け出るようにします。赤ちゃんの姿勢に大きな変動がなく、また今まで抱っこしてくれていた使用者のぬくもりやにおいが残っているので、そのまま安心して寝ていることが多いです。
  • だっこのバリエーションが多い
    お首や腰の据わり具合なども関わってきますが、赤ちゃんの状態や好奇心に合わせて抱っこのバリエーションが豊富です。
    お首をしっかりホールドしてあげたい時期は肩をすっぽり包んで首元にやわらかな支えを挟んだり。色んなものが見たい時期には視界の広い抱っこを。手を伸ばしたい、お話したい…目的に合わせて赤ちゃんの目線や体の向きを変えることが出来ます。抱っこによっては使用者の「楽」な感じが変わりますが、赤ちゃんのおでこにキスが出来るくらいの位置に、お尻が一番低く膝が上がるようにというポイントは変わりません。

次に、デメリットの部分。
いいところもあれば、いまいちなところもあります。

スリングのいまいちなところ

  • 使いこなすには練習が必要
    →へこおび同様、ベビーウェアリングに共通した悩みとして、「使いこなすまでが難しい」点があげられます。
    理屈で覚える方、体感で覚える方様々ですが、テール(布端)のどの部分を引くと赤ちゃんの入っているポーチ(袋)のどの部分が調整できるのか、というサイズ調整にかかわる部分と、赤ちゃんのお尻やM字開脚の状態・姿勢をどのように促したらお互い心地よいのかなど、ポジションにかかわる部分への慣れや経験・練習が必要になります。
    スリングで抱っこした時に赤ちゃんを支えていないと不安な場合、十分な装着が出来ていないと考えられます。赤ちゃんの位置や布の調整具合など、メーカーや経験者、ベビーウェアリングコンシェルジュなどのアドバイスを受けられると安心です。
      
  • 使いやすいスリングとそうでないものがある
    スリングは抱っこひもとして専門のメーカーから販売されているものから、おしゃれな布雑貨として販売されているもの、個人で手作りされているものなど様々です。
    布の厚さや素材による伸び、布のボリュームとリングのサイズ、肩の布が広がりやすいかそうでないかによって、調整がしにくい、体にフィットしないなど装着感が異なります。
  • 「スリングは股関節脱臼する」と聞くので心配
    日本小児整形外科学会では「抱っこは正面抱き『コアラ抱っこ』」を推奨しています。抱っこの際は両ひざと股関節がM字開脚した状態で養育者の体にしがみつく体勢が股関節の自然な状態を保つのによいということで、同様に、両膝と股関節がM字型に曲がって使える「正面抱き用の抱っこひも」の使用も問題ないとしています。
    その中で、「横抱きのスリングは開脚姿勢が取れず、また両足が伸ばされる危険もあるため注意が必要です」と抱き方によるリスクを呼び掛けているのであり、スリングを使った抱っことしては、「基本抱き」が推奨される抱き方であると言えます。
    スリングに限らず、生後間もない赤ちゃんを抱っこひもで抱く際には、「落下しないように支えられているか」だけではなく、股関節やその他を含めた赤ちゃんの姿勢が自然な状態にあるかをチェックすることが必要です。
    先天性股関節脱臼予防パンフレット – 日本小児整形外科学会

 

いかがでしょうか?
実際にご使用になっている方には、その方のメリットやデメリットがあるかと思います。
もし「こんなことがメリット!」「こういうデメリットもある!」ということがありましたらむすビバまでご連絡ください。

……実は私も今でこそスリングのメリットを理解・評価し皆さんにおススメしていますが、息子が生まれてすぐには使いこなせず鏡の前でべそをかいておりました。
使いこなせるようになったのは、「この位置でいいんだ」「この高さで抱くんだ」「こんなに密着するんだ!」と教えてもらったことがきっかけでした。

スリングにあこがれて、または興味を持って出産前に購入されるものの、実際にはうまく使えなくて……という方をよく伺います。周りで使っている方、またメーカーやお近くのベビーウェアリングコンシェルジュいたら、ぜひどうやったら心地よく抱っこできるか尋ねてみてくださいね☆

 

次回7/19(水)はへこおびで抱っこやおんぶが練習できる講座です☆

むすビバサロンではスリングやその他抱っこひもに関するご不安やご質問などもお伺いします。

ぜひぜひ体験、体感しに来てくださいね☆

 

7/19(水)いちまい布でだっことおんぶ(へこおびの会)+ランチ交流会+むすビバサロン

 

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